
先日、セカンドオピニオンとして、診療にお越しになった飼い主さんが、タイトルの様に
「『キャベツが嫌いで残してしまったら、キャベツで摂るはずだった栄養素が摂れないので、栄養バランスが崩壊して危険!だから手作り食はダメ!絶対!』と『専門家』に言われました…」
とポツリとおっしゃいました。
確かに、その「専門家」のおっしゃることは正しいと思います。
なぜなら、キャベツで摂るはずだった栄養は、キャベツを食べなければ摂取できません。
それが長期に渡って続くならば、その栄養素が不足して、病気になってしまいそうな気はしますよね。
ただし、「そんなことになるならばね…」という条件がつきますが…。
誤解されやすいので何度も繰り返しますが、ペット食育協会(APNA)は、ペットフード否定派・反対派ではございません。
私たちが主張したいのは、選択肢を増やしたいということです。
なぜ、選択肢を増やすことが大事なのでしょうか?
大それたことを申し上げるようですが、「選択肢を増やすことが大事」だと知ることは、あなたの人生に大きな影響を及ぼすからです。
人生は「問題解決の連続」です。
ですから、人生を楽しみたければ「問題解決力」を高めることが重要です。
問題解決力を高めるためには、目の前に課題がやって来た時に「採りうる選択肢」を「増やす」ことが重要です。
つまり、
「こんなことになって大問題になります!」
と思考停止するのではなく、
「こんな風にしたら、想定される大問題を回避できます」
とアドバイスするのが専門家だと思います。
欠乏症の実験に関する学術論文を読めばわかりますが、
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特定の栄養素だけ含まない「精製食」を何週(*)にもわたって食べると、何らかの症状が出る犬猫がいる。
そして、症状が出た後にその栄養素を補充すると元に戻る(*)
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(*)栄養素やライフ・ステージによる
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ということなので、数食栄養バランスが崩れていても、特に問題はありません。
なぜなら、身体には素晴らしい調整能力があるからです。
不足した栄養素を、可能な範囲で体内調達できるし、体内で合成できないか、十分な量合成できないいわゆる「必須アミノ酸・必須脂肪酸・ビタミン・ミネラル」は、先ほどお伝えした通り、数日間、一切摂取できなくても、すぐに問題は生じないのです。
ですから、日替わりでいろいろ食べていれば、栄養素の欠乏が起こることは無いし、仮に起こったとしても取り返しのつくことだということです。
栄養バランスが崩れる可能性は高くは無いし、仮になったとしても後で取り返しのつくことなら、「手作り食は危険だから禁止!」にはならないですよね。
食品成分表(女子栄養大学出版部)によりますと、キャベツ(生)の水分含有量は92.7%となっています。
食物繊維量は1.8%ですから、いわゆる栄養素は5.5%程度です。
それなら、他の食材でいくらでも摂取できそうですよね。
●キャベツでなければならない理由は特にありませんし、
●一週間程度キャベツから栄養が摂取できなくても大きな問題は無いし
●仮にあったとしても後で補えば大丈夫!
ということで、キャベツにこだわる必要はありません。
もちろん、そうおっしゃった方がこんなことをご存じないとは思っていません。
専門家として、何らかの理由で手作り食を阻止したかったから、比喩表現としてそうおっしゃっているんだと思います。
世の中には「いたずらに人を不安にさせ、混乱したところで解決策(の様に見える)ことを提示し、依存させる人」が少なからずいらっしゃいます。
こういう方は自分の意見とは合わない人間にとても攻撃的で、声が大きかったり、インパクトのある表現を使うので、ついつい引っかかってしまいますが、それもまたいい勉強でしょう。
大切なことは「まてよ…」と自分の頭で考えることです。
この場合は、
●キャベツを食べさせる工夫
●キャベツ以外でキャベツと似た効果を得る
が考えられます。
動物は器用ですから、鼻や舌で上手により分けます。
「よくもまぁ…」
と思ったことはおありではないでしょうか?(笑)
だったら、フードプロセッサーで細かくして、混ぜればより分けできなくなりますよね。
「ハンバーグ」や「つみれ」の様にすれば食べてくれます。
全く難しい話ではありません。
そもそも淡色野菜は栄養素が豊富ではありませんから、他の食材で代替できます。
「食べてはダメな食材」以外でいくらでも選べると思います。
これも、難しい話ではありません。
どんな分野でもそうですが、否定・批判するのは簡単なんです。
問題が想定されるなら、「どうやったら回避できるか?」を考えるのがプロだと思っています。
しかし、中途半端な知識だとご迷惑をおかけするので、ペット食育協会では
●一般の飼い主さんが読むことはほとんど無い
●英語で記述され
●専門用語が多い
●学術論文に基づいた情報を
●わかりやすく伝えて
●飼い主さんの不安を最小限にし
●悩みを減らすお手伝い
をしております。
お陰様で、ご縁のあった方々には、
「今までにない解決策だった!」
「ものの見方が変わった!」
「とにかく面白かった!」
「長時間のセミナーだったのに、眠くならないのが不思議!」
などのご感想をいただいております。
よく、「手作り食は膨大な量を勉強しないといけない。中途半端な知識だとヤケドする!ヤケドするくらいならフードを食べておいた方がマシ!」などと言われます。
APNAでは、ペットフードを完全否定したりしておりませんので、それもそうです。
しかし、家庭の料理番である主婦が、特別な知識など無くても、家族を健康に導けます。もちろん、管理栄養士になるのは大変ですが、そんな知識が無くとも、実践はできます。
と申し上げると、「人と犬猫は違うんだ!」という方がいらっしゃいますが、だったら、「その違いを理解して、適切な情報提供をし、階段を一歩一歩登ればいいじゃないか?」と思うわけです。
実際、ペット食育協会のインストラクター(指導士)の方々は、日々実践していらっしゃいますから、経験豊富なので、実践的な相談相手としてお役に立てるでしょう。
もちろん、完璧な人間などいませんから、得手不得手があるのは当たり前です。
そんな時には、「指導士が協会の方に問い合わせて確認をする」というシステムがありますから、多少のタイムラグはありますが、方針が得られないということはありません。
もし、「沢山勉強しないと手作り食は危険で死を招く!」
などと脅されたら、それは間違いですので、どうぞご安心ください。
最後に、あなたが不安を感じたアドバイスをした方も、その方の知識・経験から見て「あなたはこうした方がいいと思う」とアドバイスをしてくださったのだと思います。
視点が変われば意見は変わります。
その方も、あなたに対する思いやりがあったはずであろうことは、ここで申し伝えておきたいと思います。
この様に、
ペット食育協会は、問題を作る団体ではありません。
ペット食育協会は、問題を解決する団体なのです。
これからも、不安で悩み多く、迷える飼い主さん達に解決策を提示できる様、活動していきたいと思います。
あなたが、悩みを解決するヒントを得られる最初のステップは、ペット食育協会の入門講座です。
●知っているか知らないか
で差がつきます。
知った上で
●習慣になっているかいないか
で、更に大きな差が生まれます。
もしあなたがペットの食や栄養について不安を感じていたら、それは「知る必要のあること」が出てきたということかもしれません。
今までいろいろ学んできたのでしたら、それをつなぎ合わせる時期が来たのかもしれません。
手作り食に囚われず、生物の「食」というものをもう一度捉え直し、「身体にはそんな簡単には病気にはならない調整能力があるけれど、過信していると取り返しのつかない事になることもある」ことを、肩の力を抜いて、楽しく学んで、共に不安や悩みを減らしましょう!