

価格相応
「フードか?手作り食か?」という議論がありますが、その前に、食材の質が体に与える影響について考えてみたいと思います。
個人的な話なのですが、私はチェーン店の安い焼肉を食べると、約20分後にお腹がギュルギュルいってきます。しかし、1人顧客単価10,000円〜20,000円の焼き肉屋に行くと、お腹は壊しません。
ですから、個人的には安いものには安いなりの理由が、高いものには高いなりの理由があると思っております。
決して、安くて良いものは大量には出回らないのです。
では「高ければいいのか?」というと必ずしもそうでもありません。
高くても合うとは限らない
例えばまた個人的な話ですけれども高価なA5ランクのお肉、つまりサシの多い極上肉を食べると、やはり私はお腹がギュルギュルいってきます(これには理由がありますがそれはまた別の機会に!)。
しかしA3〜4ランクの赤身肉(A5よりは安い)だったら全く何も起こりません。
ですからすき焼きとかしゃぶしゃぶのお店に行った時に一番高いコースではなく、一番安いコースを頼むと、それが大体A3〜4ランクの肉なので、「私には」ちょうど良いのです。
まぁ、おかわりも赤身肉を次々注文すると、結果的に一番高いコースと同じ位にはなるのですけれども…。
また、あなたもご経験がお有りかと思いますが、「良いお肉は少量で満足ができる」のは共感していただけると思います。
このように、何事も価格相応、高いものには高いなりの理由、安いものには安いなりの理由があり、「安くて良いもの」は存在しないのです。
さて、ここから、ある犬の話をします。
フードでも手作り食でも下痢の止まらなかった犬
その犬は下痢がなかなか止まらず、いろいろフードを変えてみたものの何も変わりませんでした。
そして手作り食にしてみたのだが、それでも変わらないということで、須崎の元に相談にいらっしゃいました。
いろいろ話を聞いているときにその飼い主さんの「食材の質に対する価値感」が気になったので、「どこでその肉を調達していますか?」と伺ったところ、ある大手スーパーの名前があがってきました。
その大手スーパーはトレーサビリティ(出所がしっかりとわかる)をウリの一つにしているのですが、私の中ではそのスーパー(どことは申しませんが)の食材の品質を高いと思ったことがなかったので、「近くに精肉店があるならば、そこで赤身肉(サシが少ない)を買って食べさせてみてください。」とお伝えしました。
早速飼い主さんが実践なさったところ、それまで数ヶ月間続いていた下痢が四日で止まったそうです。
このように、出所のわかる食材でも売られているところで品質が違っていたりします。
まして出所の分からない食材を口にすることに対して、私は気になることがいくつかありますが、あなたはどうでしょうか?
いずれにしても、食材の品質が体調に影響する「こともある」ということは、紛れもない事実です。
もちろん、「下痢になったら良い肉を食べれば治る!」という単純活短絡的な話ではありません。
あくまでも、この子の場合であり、下痢になる原因はたくさんありますから、それは信頼できる獣医師の先生に原因を探っていただき、対処してもらって下さい。
そうすると、「結局どの食材が良いのですか?手作り食が良いのですか?フードが良いのですか?」というご質問をいただくことがあります…
良い悪いではなく違い
「早く泳げる人と、速く走れる人、どちらが優秀か?」という質問のように、条件が異なるのだから単純に比較なんか出来る訳がありませんし、優劣など付けられません。
それと同じで、「フードか?手作り食か?」も、どちらが良いとか悪いとかではなく、違いなんだということを理解する必要があります。
それを踏まえた上で、食材の質の良いものはやはり値段が高いです。そうでもないものは安く流通しています。
これは嘘偽りのない事実です。
だとしたら、産地も育て方も全く違う鶏肉を全て同じひとくくりで「鶏肉は…」と論じることは適切なのでしょうか?
私は、ブロイラーと地鶏は同じ鶏肉でも味も違えば、「いろいろ違う」と考えます。
もちろん、これも良し悪しではなく、「違い」です。
NG食材情報を必死に集めても…
残念ながらちまたには「あの食材がイイ!この食材がダメ!」という話を毎日のように検索しては一喜一憂している飼い主さんは少なくありません。
しかしその集めた情報も、「それはひょっとしたら、もうちょっと質の良い食材を食べたら、そんなことにならないのかもしれませんよ」と言いたくなることが多いものです。
また、「どこそこ産の何肉が体に良いとか良くないとか言う方」もいらっしゃいます 。
それも、価格相応であり、「安いものが正義」という考え方をしていると、どうしても不安材料が拭い切れないのかもしれません。
もちろん先程申し上げたように「高額だから良い」とうわけではありませんが、「安いなら安いなりの理由がある」ことは意識しておきたいものです。
良心的な価格とは?
よく、「良心的な価格」という表現がありますが、「支払う側に都合の良い価格」という意味で使っている方が少なからずいらっしゃいます。
私は、支払いは「投票」だと思っています。
「ちゃんとした食材を、丁寧に作ってくださっている生産者の方々、いつも本当にありがとうございます。投票させていただきますので、日々の生活ならびに、研究開発、更なる発展のためにご活用下さい!そして、これからも私達のために存続して下さい!」
という気持ちが支払いに込められていると考えています。
それを「私が払える額にそちらが料金提示を合わせて」となれば、「それなりの品質のもの」しか出てこないのは当たり前です。
当たり前のことですが、食材にもサービスにも適正価格というものがあります。
「自分が求めている基準のものを購入する」そういう視点を持ってみるのはいかがでしょうか?
単に価格が高いとか安いとか、そんなことで一喜一憂するのではなく、ちゃんとした食材を、丁寧に作ってくださっている生産者の方々に敬意を表して、曲がっていようが形が悪かろうが、「ご提示いただいた価格で購入させていただき、美味しくいただきます!」という姿勢を持てる方が持てば、「安いだけの店」以外の選択肢がもっと増えるのではないでしょうか?
もしこの文章を読んで、不快に思われたらごめんなさい。
でも、世の中には「そういう視点もある」ことは、頭の片隅に置いておいてください。
そして、もし、私達ペット食育協会の活動をご賛同いただけるなら、ぜひ、一般会員になって、仲間になっていただけたらうれしいです。