

Q. 犬や猫に穀物食は負担になりませんか?
はじめまして、先生の著書を拝読し、質問があります。
私は今まで、他の先生方の手作り食を学び、実践してきました。その先生方は「犬に穀物は不要」と断言していらしたので、それを忠実に守ってきました。
しかし、先生のご本は全くその逆なのです…。
現在、どちらを信じたらいいのかと困惑しております。
確かに、大丈夫そうな方々のブログが多く、こんなこと気にする必要はないのかもしれませんが、念のために確認させてください。
本当に大丈夫なのでしょうか?
福岡県・まいたけ大好き さま
A.一切問題ございません
はじめまして、須崎動物病院院長、須崎恭彦です。
この度は、私の著書をお買い求めいただきまして、ありがとうございました。
まず、犬や猫に対する「穀物」の問題点は
●消化しにくい・下痢をする
●犬は利用できない
などです。
しかし、消化に関しては「いきなり」穀物主体の食事に変えてしまうことは大抵の場合、なんの問題もなく受け入れられます。
腸内環境移行に伴う必要かつ正常な反応
ときに、なんらかの症状が出るケースがありますが、それも「移行に伴う必要かつ正常な反応」でしかありませんし、私の本で紹介しているように、「移行プログラム」を取り入れたり、よく煮るなどして徐々に慣らしていけば、キチンと消化できるようになるので、この問題は心配ご無用と思われます。
もし、問題が生じるなら、それは例外であり、個別対応する必要があると思いますので「体内で何が起こっているのかを探れる、東洋医学系の獣医師」に根本原因を調べてもらって下さい。
食材変更で症状が出るなら正常化かも?
また、下痢に関しては、食事内容が変化することで「腸内細菌バランス」が変化するのは、病気ではなく「不快だが必要かつ正常な反応」です。
私達人間も、食事内容が大きく変われば下痢をしたり、便秘になったりするので、特にこのことは問題ではありません。
ちなみに、人間が海外旅行に行って下痢をするのも同じ理由です。
穀物は犬猫が利用できないはウソ!
「犬猫が利用できない」ということに関しては、ウソです。極端な話、諸事情から穀物菜食だけで生きている犬が珍しくないので、この点に関してのご心配は不要です。
ときどき、注目を浴びたくて、極端な情報を発信している方がいらっしゃいますが、「結果」が重要です。
食材の世界は価格相応ですから、安価で低品質な食材を食べた結果、問題が生じることがあります。実際、私がそうです。しかし、「石臼引き時価!」の高級小麦を使うと、何も症状が出ないのです!
このように、安価で低品質な食材と、それなりの価格と品質の食材を食べた結果は変わって当然です。
ちまたの情報は、これらが区別されずに拡がっていると感じます。
価格相応!
私としては、何を食べなければいけないとか、何かを食べてはいけないとか、そういう制限をするよりは、何でも食べられるのが一番だと思っています(もちろん、生物学的に有害なものは除きます)。
人にいろいろいるように、犬猫もいろいろです。
穀物食をキチンと消化吸収できる子もいれば、ちょっと工夫をすれば利用できるようになる子もいますし、そうでない子もいます。
この消化できない場合は、体質というより、身体の状況で、適正化できれば特に問題なく利用できるようになります。
肉を食べないと調子のよくなる子もいれば、肉を食べないと調子が出ない子もいます。
ドッグフード・キャットフードは所詮インスタントフード!
扱い易さでいったら、市販フードが一番楽かもしれません。
でも、市販ードは所詮インスタントフードでしかありませんし、それゆえ身体に合わない子がいるのも事実です。
そんなときは、出所のわかる食材で作った食事で体調を整えて、徐々に「何でも食べられる犬」に近づけていけばいいのではないでしょうか?
手段を固定すると問題解決力が低下する!
また、手作り食には、飼い主さん方によるといろいろな流派があるらしく、
●非加熱食派
●加熱食派
●グルテンフリー派
などだそうです。
これまでペット食育協会のセミナーを受講くださった方々でいろいろやってみた結果ですが、どれも悪くはないのです。
私の本で穀物菜食を中心にした手作り食をすすめているのは、アレルギー疾患でなかなか治りにくい子がいて、穀物食をやってみたら、結構良かったからです。
それまで、穀物菜食を中心に書かれた本は無かったのですが、自分としては、理屈としても納得いくし、実績もあるので、皆さんに紹介したいと思って本を書きました。今のところ、特に「アレルギー性疾患と診断されている子」の入り口にはこれが良いと思っています。
唯一無二の正解などありません!
また、これは大切なことですが、「こうでなければならない」という唯一無二の正解はありません。
女性のファンデーションが「全日本人女性、同じ一色で大丈夫!」などということがないのと同じで、
一頭一頭違うのです。
やってみなければ分からないが正解です。
ですから、「この子にとっての正しい量と配合は?」と質問してくる方がいらっしゃいますが、その正解は
「最初から決まりません。やりながら調整していくしかありません。」
となります。
人間の世界ですら個々で違いますと言われているのですから、もっと解っていない犬の食生活で、あまり神経質になる必要はありません。
旬の食材を日替わりで食べていれば、身体は勝手に調整されるようになっています。
もし、不安に思ったら、ぜひ、ペット食育協会の各種セミナーで質問・確認・答え合わせしてみてください。
ヘンな情報を読んで不安になったら、悩む必要のないことで悩まず、結果を出しているプロに相談して、楽しい時間を増やしてくださいね。